【ハーブのいろは】医学とハーブ
ハーブの歴史編:②医学とハーブ
6月なのにこんなに暑いなら、夏本番はどうなってしまうんでしょ。
汗だくで庭に建てた東屋が、「掘っ立て小屋」にしか見えずに撃沈。
こんにちは、百草本店のもり蔵です。
前回は、ハーブと人間の健康についての歴史をお話ししました。
ハーブって、人間にとっては長らく薬のような役割を果たしてきたんですね。
唐突ですが、皆さん「仁-JIN-」ってドラマご存じですか?
幕末ににタイムスリップしたお医者さんが、いろんな人と関わって歴史を変えていく医学系SF作品です。
作中で、主人公が「ペニシリン」という特効薬(抗生物質)を作り出して多くの人々を救います。
当時学生だったもり蔵は、「抗生物質すげぇぇぇ」と目を輝かせたものです。
さて、今日は、そんな現代医療が確立するまでの医学がどのような道を辿って来たのか…
植物(ハーブ)の存在とともに簡単にご紹介出来たらなと思います。
病気の正体がわかるまで
今でこそ、「この高熱と倦怠感は、インフルエンザだったのか……。薬を飲んで寝ていようか。」なんぞと、症状・原因・対処方法がセットでわかります。
しかし、こんな風になったのは、人類史から見るとつい最近のことなのです。
それまでは、なんせ原因がわからないものだから、
「悪魔が宿った」だとか、「呪いのせい」だとか、「悪行が祟って」なんてスピリチュアルな理由をこじつけていたのです。
そんな中、様々と研究を続ける人はいつの時代でもいるもので…
- ヒポクラテス 「体液病理説」
- 中国 「陰陽五行説」
- インド 「アーユルヴェーダ」……
もしかすると、人間には「体質」というものがあって、そのバランスが崩れると調子もおかしくなってしまう。
それこそが、病気の原因なのではないだろうか?
と考えるようになります。
これが伝統医学の基となっています。
ハーブは、その崩れたバランスを整えるための治療に使われていたのです。
植物療法による回復
東西世界で発達した伝統医学と共にあったのが植物(ハーブ)。
「この草は効くではないか!?」
と、薬効がある草々が「薬草」という地位を得ていきます。
- ディオスコリデス 「薬物誌」
- 中国 「神農本草経」
これらは非常に有名な書物で、後世に引き継がれた医学発展の基礎と言っても過言ではありません。
こうして植物が治療に用いられる世界線となったわけです。
そうすると、向上心と好奇心の塊のような人間がいつの時代でもいるようで、
「もっと効果的に薬草を取り込めないだろうか?」
と考えるようになり、イブン・シーナ(10世紀)は植物から精油を蒸留する方法を編み出します。
いよいよ、植物と私たちが知る薬学がつながって参りました。
メディカルハーブの確立
このようにして、植物が病気の治療に用いられるようになります。
《前回》触れたように、この「(生活や)健康に役立つ自生【植物】」こそが「ハーブ」なのであります。
大航海時代を迎えると、世界各国で貿易が盛んになり、ハーブも地域を超えて世界中に広がります。
ヨーロッパに持ち込まれたハーブは研究者の関心の的となり、専門家が多数輩出されるほどに注目されました。
- ウィリアム・ターナー:イギリス植物学の父
- ニコラス・カルペッパー
- ジョン・ジェラード
- ジョン・パーキンソン……
彼らは「ハーバリスト」と呼ばれ、ハーブの薬効についての研究に精を出しました。
病気の治療にハーブの薬効を用いる。
こうして、「メディカルハーブ」という概念が確立したのです。
近代薬学とメディカルハーブの衰退
冒頭でお話ししたように、「ペニシリン」などといった西洋薬学が台頭する19世紀の初めまでは、メディカルハーブを用いた植物療法がメインの治療でした。
ここ100~200年の人間の進化・発展は目覚ましく、数百年変わらなかった医学の世界はあっという間に変わってしまいます。
1800年はじめ ハーブから、抗炎症作用・鎮痛作用などがある”サリシン”という成分を取り出すことに成功する。
1800年中頃 ”サリシン”などの有効成分が化学的に作られるようになる。
1800年おわり コレラ菌や狂犬病ウィルスの発見は「特定病因論」を導き出し、「病気」の原因が「病原菌」によるものだとわかる。
1900年はじめ 病原菌をピンポイントで狙い撃ちするための薬品が作られるようになる。
狙い撃ち!出来るのであればそれに越したことはないと、医学の発展はたくさんの狙い撃ち特効薬の製造という方向に向かいます。
こうして、緩やか&穏やかな効き目の「メディカルハーブ」はわき役となってしまいました。
そして、21世紀ーメディカルハーブが再燃?!
医学のみならず、私たち人間の進化は加速し、社会も文化も大きく大きく変わってきました。
工業の発達で公害病が発生:環境問題の深刻化。
経済の発達で労働環境も変化:ストレス社会や心身症が問題に。
食の多様化:「肥満」などによる生活習慣病の原因に。
…
「病原菌」による「病気」は狙い撃ち特効薬で多くのものが治せる時代。
しかし、それよりも深刻なのは「現代病」と言われるもの。
それらの症状に直接効くのは、やはり狙い撃ち特効薬でしょう。
しかし、根本を変えずにそれらを摂取し続けることは、問題の解決にはなりません。
「え、だるくて食欲もない?夜も眠れていないのか…。身体のバランスが崩れているんだね…」
なんてよく聞くフレーズ。
あれ、「バランス」って?!
そう、古代より受け継がれてきた「ハーブ」の出番です。
もちろん、きちんと医師の診察と治療を受けることも重要です。
ただ、それに付け加えたり(統合医療)、
代わるような形(代替療法)で、
「ハーブ」の力を用いるという選択肢をご紹介したいのです。
病気にならないように、日々身体のバランスを整える。
高い保険料を支払ってタバコやお酒でストレスを飲み込むか。
「#メディカルハーブ#丁寧な生活#健康#バランス」とインスタに投稿するか。
「そういう風味醸すやついるよね~」な方は、是非、今後紹介するハーブレシピで仰天してくださいませ!
もり蔵
